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【Pitchfork】坂本慎太郎/幻とのつきあい方 08:52
 坂本慎太郎『幻とのつきあい方(How To Live With A Phantom)』のレビューがピッチフォークに掲載されたということで、和訳してみました。

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 坂本慎太郎をまず理解するために、トッド・ラングレンを参照しよう。ラングレンのようにスタジオにこもって一人でポップミュージックのプラトニックな理想を追求する前に、坂本はサイケポップなガレージバンドと共にキャリアをスタートさせた。軌道は同じである、ラングレンが70年代の一連の風変わりな世捨て人ポップアルバムをリリースするのに先立ってNazzを二年しか続けなかったのに対し、坂本はソロデビューする前にゆらゆら帝国を1989年から2010年まで率いてきたという違いはあるけれども。過去2、30年に現れた多くの日本人アクトと同じように、ゆらゆら帝国は母国では巨大な存在だったが米国ではちょっとしたカルト人気しか持ち得なかった(DFAが2009年に二枚のアルバムをリイシューしている)。『幻とのつきあい方』の完璧に作りこまれたラウンジ・ポップからは小規模で親密なリスナーとの関係を重視しようという意図が感じられる。

 坂本は今作でプロデュースを自ら行いあらゆる楽器をこなしているが  それはトッド・ラングレンの『Something/Anything』の中写真(http://1.bp.blogspot.com/-BRl2dqqWrhU/TzHq2umDSEI/AAAAAAAABRU/BRrzzdNpNoo/s1600/s%26a.jpeg)でホテルルームに閉じこもって輝ける神になりきるトッドを思い出させる。しかし、坂本が足の親指でレベルを調整しながらコンガを叩いて録音している様はすぐ想像できるものの、それ以上に「幻〜」からは、くたびれたビジネス旅行者のためにホテルラウンジの地下で演奏する無名のバンド、もしくは不幸な人々の早朝のサウンドトラックといった印象を受ける。彼は情熱的なフロントマンというよりもいうなれば日本版ブライアン・フェリーといった存在で、ラングレンとスティーリー・ダン、加えてJuan Garcia Esquivelの『Space-Age Bachelor Pad』(http://www.youtube.com/watch?v=Kucrl7nVj7U)におけるポップ・フォルマニズムを思い起こさせる曲を、作り手と聞き手の間に距離を置いた無表情な日本語で歌う。

 しかし、深く掘り下げれば、あなたはローカルなグループがグローバルなスケールで具体的な影響を与えだした時代のポップの残響を聞き始めるだろう。60年代後半のブラジルのトロピカリア、それ以上に90年代中盤の、坂本の生まれ育った東京の渋谷系ムーブメント。ここが『幻〜』の天才的側面なのだが、『幻〜』の音楽はこれらのムーブメントと大いに関係はあるものの、表情は全くもってそっけないままだ。ジャケットで坂本とポーズをとるマネキンのように(もしくはゆらゆら帝国の写真の中心に映っていた坂本のように)(http://blog.wfmu.org/.a/6a00d83451c29169e201538e29df96970b-pi

 たしかにそっけないがそれは潔癖というわけではない。おそらく、多くの読者はこの区別を普通のコーラとダイエットコーラどちらをとるかくらいのささいな選択と見なすだろうが、もう少しよく見てみれば、そこにちょっとした差異にこだわるナルシシズム以上のものがあることをあなたは感じるだろう。『幻〜』からは引きこもった自意識の感覚だけでなく、それがRockitのPVの家(http://www.youtube.com/watch?v=pERrVMbsCfg)でレコーディングされたかのようなユーモアのセンスも感じられるのだ。

 私は、「仮面をはずさないで」の冒頭、「Shakedown Street」風のギター(http://www.youtube.com/watch?v=8lCMUkqpI7o)が鳴ったところで「おっ」と思い、コンガ、それから坂本の愛らしいメロディアスなベースラインの後で ー少し待とうー 現れる彼のかきむしるようなサックスソロで、この曲への愛着は完全なものとした。おそらく、「傷とともに踊る」の二度目のブレイクでフルートが響くとき、「ずぼんとぼう」で水族館の空気ポンプ風の効果音が鳴らされるとき、もしくはオープニングトラックのゲッツ/ジルベルト風の揺らぎ(http://www.youtube.com/watch?v=pWt7a610rcg&feature=fvst)が五感を走るとき、このアルバムの意識的な作りものっぽさがべックのそれよりS1mOne(http://www.imdb.com/title/tt0258153/)のそれに近いことがわかってくる。もしかしたらこれこそ慎太郎が新しいスキルを磨きあげる方法なのかもしれない −不気味で超自然的な谷に入り込まずに、幻と戯れること。


以下原文(http://pitchfork.com/reviews/albums/17083-how-to-live-with-a-phantom/):
To begin understanding Shintaro Sakamoto, it helps to start with Todd Rundgren. Like Rundgren, Sakamoto started his career with a psych-pop garage band before decamping into the studio and striving toward making the Platonic ideal of pop music by himself. The trajectory is the same, though while Rundgren only lasted about 2 years with the Nazz before releasing a string of idiosyncratic hermit-pop LPs through the 1970s, Sakamoto led the great Yura Yura Teikoku (Japanese for "The Wobbling Empire") from 1989 through 2010 before releasing his solo debut this year. Like so many Japanese acts of the past few decades, Yura was huge in its home country, but only registered a cult-act blip stateside (though DFA quietly re-issued an LP on its Death from Abroad imprint in 2009). The impeccably produced lounge-pop of How to Live With a Phantom seems destined for a small-but-ardent listenership.

Sakamoto produced and played many of the instruments on Phantom, conjuring the image of Rundgren-as-golden god secluded in his hotel room of the Something/Anything gatefold photo. But while it's easy to imagine Sakamoto laying down conga tracks while adjusting board levels with his big toe, Phantom's vibe more closely evokes the anonymous band downstairs in the hotel lounge, playing for weary business travelers and soundtracking the early moments of an ill-fated hookup. He sounds less like a passionate frontman, in other words, and more like some sort of Japanese Bryan Ferry, with songs suggesting the pop formalism of Rundgren and Steely Dan--and occasionally Juan Garcia Esquivel's Space-Age Bachelor Pad--sung in Japanese, with a glassy, purposeful distance between musician and listener.

Dig deeper, though, and you start to hear the echoes of past pop moments when localized groups of musicians started incorporating influences on a global scale: the late 1960s Tropicalia moment in Brazil, and especially the mid-1990s Shibuya-Kei movement in Sakamoto's hometown of Tokyo. This is the quiet genius of Phantom: it incorporates so much, yet remains as willfully aloof as the mannequin Sakamoto poses with on the cover (or, if you like, his pose in the center of this older Yura Yura promo photo).

Aloof, sure, but far from sanitized. Granted, many readers likely see this distinction as a choice between Plain and Diet Plain, but if you've come this far, you know it amounts to much more than the narcisissm of minor differences. Phantom not only feels self-aware, but for something that sounds like it was it was recorded in the "Rockit" house, it's got a sense of humor as well.

Me, I was hooked when the "Shakedown Street" guitar showed up in "Mask on Mask," and my affection was only further solidified via that song's conga run, Sakamoto's lovely melodic bass leads, and-- wait for it-- his squealing sax solo. About the time of the second flute break in "Dancing With Pain", or maybe when the aquarium air pump sound effect kicked in during "A Stick and Slacks", or perhaps it my fifth run through the opening track's Getz/Gilberto nod, it became clear that the album's purposeful artificiality is much more in line with Beck than say, S1m0ne. Maybe this is Shintaro's way of honing a new skill: playing with phantoms without tipping over into the uncanny valley.

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【Pitchfork】My Bloody Valentine Reissue レヴュー 06:56
 

PitchforkのMy Bloody Valentineリイシュー作品のレビュー訳です。

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存在する。私は今、手にCDを抱えながらあなたに言えるんだ、それらは存在すると。My Bloody Valentineのクリエイションに残したカタログがリマスターされるというニュースは幾度もアナウンスされ、そのたびに延期されていた。『Loveless』のリマスターと長々と待たされている新作のどっちが早いか、というよく使われるジョークにもなった(答えはいつでも「どっちも出ない」)。音質のいいコピーが4年前に出回ったが、来ては去るうわさが確かなものか誰もわからなかった。今、それらは姿を現し、あなたは買うことができる。まだUKのみでしか手に入らないが、My Bloody Valentineのリマスターは存在するのだ。

『Isn't anything』『Loveless』のリマスターに加えて、新しい作品もある。『EPs 1988-1991』は以前はリリースされていなかったトラック(しかしよく海賊版になっていた)を含んだ、バンドの創造性のピーク期の4枚のEPを集めたものである。 このリリースは思いがけない天啓だ。この作品を一気に味わえば、このバンドの輝かしい歴史に新たな1ページが加えられたような感慨を覚えるだろう。『You Made Me Realise』、元々1988年にリリースされたこの作品は偉大なEPリストに永遠に残るものだし、この作品で彼らは最初期の音楽から大きな成長を遂げたことを証明した。それ以前にもギターノイズによる実験を行っていたが、この至福と恐怖の間の細い道を歩むようなタイトルトラック「You Made Me Realise」ほどの成功はなかった。ケヴィン・シールズはビートルズのメロディセンスの信奉者だったが「Thorn」のようなさわやかで耳に残る曲を書いてこなかった。そして「Drive It All Over Me」ほど苦労せずに作ったように聞こえる曲も作らなかった。この曲で結局のところ彼らはリアルなロックバンドであることを示し、ベースは脈打ち、リズムは快活で、ギターはギターの音を出していた。

1988年の終わりにケヴィン・シールズはMBVがギターポップの革新者であるというステータスを決定づけるシングルとアルバムを発表する。「Feed Me With Your Kiss」をフィーチャーしたタイトルなしのシングル(こちらも4曲入りのEPで、今回のEP集にすべて収録された)はもっと甘く、もっと不協和音を響かせた、とにかくすべての方向性において「もっと」先へ進んだものとなった。もし「Feed Me With Your Kiss」や「I Believe」が『Realise~』EPのどの曲にも似ていないとすれば、それはこのバンドがより広い表現のレンジを持っていることを示したにすぎない。

My Bloody Valentineのディスコグラフィーの中でもひときわ個性的な『Isn't Anything』は期待を裏切らない。これが最高傑作だと思うファンもいるだろう。ダークさと遅さと楽しい興奮がかわるがわる訪れる。「Nothing Much to Lose」 や 「Sueisfine」のようなフリーテンポの曲でドラマー、コルム・オウキオソイグは毎拍子の後ろにキース・ムーンばりのフィルを叩きこむ。「Lose My Breath」や「No More Sorry」のような遅い曲ではギターが鐘のように響いて,MBVのダークなゴス的側面を感じさせる。総じてこのアルバムは捨て曲がなく、すべての曲がムードを形成している。

個々の曲の素晴らしさにもまして『Isn't Anything』はMBV特有のダイナミックさを明確にしている。これは当時すでに「シューゲイズ」と呼ばれていたノイズポップの形態の本質をなによりも描いた作品であり、MBVからの際立った影響は『Loveless』よりも『Isn't Anything』に見られる。もちろん『Loveless』もこの唯一無二のバンドの際立った仕事であるが。本質的にはMy Bloody Valentineの音楽はDinosaur Jr.とHüsker Düのはじけるパワーとインディポップの繊細な傷つきやすさのミクスチャーであった。男性的/女性的の間のダイナミズムはケヴィン・シールズともうひとりのシンガー・ギタリストのブリンダ・ブッチャーとの間の相互作用(彼らの声はそれぞれを補い合っているが、しばしばまったく同じ音声に聞こえる)によってだけでなく、ギターノイズに対する声の効果によっても表される。

My Bloody Valentineには中性的な感性をポップに表現する新しさがあり、彼等はディープで性的であると同時に抽象的な、長さは短いが感情的には重い音楽を作り上げる。そして『Isn't Anything』において、この対照的なコンビネーションは見事に花を咲かせた。消え入るようなドローンナンバー「All I Need」はその後このバンドが『Loveless』でどこへ向かうかを指差しているが、『Isn't Anything』はもう一枚のアルバムとの関係性の中だけで存在しているわけではない。ただ、もし彼らがここで歩みを止めていたら、My Bloody Valentineの名声がここまでのものになったかは定かではない。幸運なことに彼等は足を止めなかった。もう一つのランドマークが次の角で待っていた。

しかし、そこに向かう前にMBVは2つのEPを発表していて、1988−1991のコレクションに今回収録されている。1990年の『Glider』は彼らのサウンドが以前のものから大きな変動を経たことを示した。EPの幕開けを飾る「Soon」はセンセーションだった。ブライアン・イーノが「ポップの新しいスタンダード」 と評したのは有名である。それは歴代でもっとも曖昧なサウンドを持ったヒット曲だった。この曖昧さはすべてに通ずる鍵である。シールズはこの曲でバンドの最初期から暖めていたアイディアを取り出し、テクスチャと純粋な感覚の領域でどこまでやりたいことを推し進められるか試したのだから。そのため、「Soon」はドラムブレイクとコードチェンジとメロディによって普通の「歌」のように聞こえる一方、すべてがぼんやりとしていて、仕舞いには歌というより歌の記憶の亡霊のようにも聞こえてくる。そしてこの深い霧のかかったような不明瞭さは、それでいてギターが入ってきたときのノイズの衝撃と推進力を少しも失うことはない。明らかにMy Bloody Valentineは変わった。

『Glider』はインストュルメンタルのタイトルトラックに彩られいているが、この曲は内に隠された、畏れ混じりの不安の感覚を創り出すのに、シールズがフェイザーと無軌道なリズムをどのように使っているかを示すショウケースだ。それは少し「間違って」聞こえるが、同時に華美で、少しだけ以前のような音も鳴っている。MBVの次なるEP「Tremolo」は掛け金をより吊り上げた。これこそ『Loveless』の手引きとなるものだ。オープニングのよろめくような「To Here Knows When」で「Glider」の混乱した無軌道性とあり得ないくらい霊妙なブリンダの声をミックスさせる。その声は常に今にも壊れてしまいそうで、深い不安のフィーリングを運んでくる、それはまるで激しい歪みと子供のささやきが出会ったかのようだ。ループドラムとケルト風のシンセラインを持つ「Swallow」と破壊的な「Honeypower」も『Loveless』の完璧な美しさによくマッチしている。

あなたが想像するように、ケヴィン・シールズのような完璧主義者はリリースされていない偉大なものを地下に眠らせておくタイプではないし、それはEP集に収められたボーナス音源が証明している。「Instrumental 1」はドラムのブレイクとギターノイズで構成されているが、積極的な新しい方向性に乏しい音で、影響を受けた音楽の焼き回しという印象。「Glider」の10分ロングヴァージョンは歓迎されるもので、永遠に続いてほしいと願いたくなるヒプノティックな繰り返しでできている。しかしより良いのはディスクの終わり、しっぽの部分にあるザクザクと鳴るポップチューンたち ー「Sugar」「Angel」「Good for You」ーがEPsに最良の要素を提供する。

『Tremolo』は3月にでたが、11月(Nirvana『Nevermind』の6週後だ)に『Loveless』が世に出るまで8ヶ月の期間を待った。控えめに言っても『Loveless』への期待は高まっており、あらゆるところから待ち望む声が聞こえた。宗教的なタームで常に描写されるポップアルバムなどはほとんどないが、これはその少ないうちの一つだ。どんな聖書でも塩の役割を果たすように、このアルバムはあらゆる解釈に開かれた自由なパーティとなる。イーノの引用に戻れば、歌詞を読んだとしてもこれらの曲の多くがなにを「意味する」かに言うことなんてない。むしろ脳の言語野は素通りして別のエリアー記憶、触覚、感情が住むエリアへ向かう。これはあなたが「理解する」よりも「感じる」アルバムなのだ。

ところで、ケヴィン・シールズはバンドリーダーというよりもマッドサイエンティストで、常に新しいサウンドのために時間を費やしている。彼は事実上ほとんどの楽器をプレイし(オウキオソイグの一分程度の「Touched」という唯一の例外を除く)、細かいディテイルまで強迫観念的に追求している。『Loveless』の神がかったところはそのミックスで、非常に正確な割合で一つの音ともう一つの音が組み合わせられている。このアルバムのハイライトについては、二つのEPのリード曲がテントのポールの役割を果たしているものの、実際にはすべてがハイライトだ。人生で数千のアルバムを聴いてきたが、これは本質的に完璧なものとして私に衝撃を与えた数少ないアルバムの一つである。またこのアルバムは世代を跨いで多くの人々を、音そのものの驚くべき可能性へと導いた。Fenneszのような人間が『Loveless』によってテクスチャの大いなる可能性へ耳を開くことを学ばなかったら、彼がインディミュージックファンの間で今ほどの牽引力を持ちえたとは想像できない。『Loveless』は今でもランドマークであり続けるのだ。

この特筆すべきリイシューについての奇妙で皮肉なことのひとつ、それは完璧なものが二つの競い合うようなヴァージョン違いで提示されていることだ。『Loveless』は2枚組セットになっており、ひとつはデジタルレコーダー音源のリマスター、もう一つはアナログ音源からのリマスターである。われわれはこの異例の決定の背後にある理由を完全には理解できないだろう。別のところで指摘されていたように、二つのディスクのラベルが貼り間違えられていて、アナログマスターがデジタルからのもので、逆もまた然り、ということもあり得る話である。どっちがどっちかわからないから、誰も自信を持って「どっちのLovelessリマスターを今夜聴こうか」と自分に言い聞かせたりはできないだろう。

シールズは言う、その違いは一枚を通して聴いたときにだんだんと分かってきてよく理解できる、と。クオリティの異なる三つのヘッドフォンと2つのステレオシステムでCDを聴いてみたところ、私が言えるのは「少し」違うということで(片方が髪の毛一本分くらい音が大きい)質の違いはどう多めに見積もっても極めて小さい。そしてリマスターの片方には「What You Want」にデジタルノイズが入っていて、この2枚にどれだけの労力が費やされたのかを考えると悲喜劇的な気持ちにさせられる。私はノイズの入ってないほうを聴くことになるだろう、うん。

ディテイルはさておき、この3つのリマスターセットは良くできている。『Loveless』はよく知られているように史上最も静かで「ラウドな」レコードであった。iPodで聴けば、あなたはいつでもヴォリュームをマックスまで上げてしまうだろうが、耳の痛みは決して感じない。このレコードにおけるダイナミクスの豊穣さの中で息をつくことがきる。「Soon」と「Only Shallow」でギターの波が押し寄せたとき、今でもそれはあなたのコアの部分を揺さぶるだろう。

一番重要なことはこの音楽が存在し、過去と未来の音楽の中でもおそらく最良の音が鳴っていることである。バンドとして、アイディアとしてMy Bloody Vlentineは多くの点で際立っている。音の完璧さ、規格外の野心、過剰さ。しかし、なにより彼らが表しているもののはその忍耐だろう。彼等はあなたを待たせる ー次の輝かしいアルバムを、すばらしいアルバムのリマスターを、「You Made Me Realise」の長いライヴヴァージョンの中でDのコードが終わりを迎えるときを。いくつかのバンドはあなたがほしいものすべてをほしい時に与えてくれる。My Bloody Valentineの場合、あなたの方から彼らに近づいて、彼らの流儀で音楽を経験しなくてはいけない。しかし彼らの要求はケチなものではない。事実、あなたの献身に彼等は何度も報いてきた。数年にわたり、ケヴィン・シールズは『Loveless』の次を作る困難さを語ってきた。トークは主に金銭についてだ −約束されたものを彼が与えてもらえないこと、音楽に命を吹き込み、世に出すための資源が欠けていること。今回のリリースはあなたの期待にわずかにしか応えてないとしても、1988年から1991年にかけての奇跡の数年でMy Bloody Valentineが世に出したものは取引の外側にある。それは天恵のようだ、今でも。
By Mark Richardson;May 11,2012


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原文はこちら

They exist. I'm holding the CDs right now, and I can tell you, they exist. The remasters of My Bloody Valentine's Creation catalog had been announced and delayed so many times, it became a running joke to ask which would come first, the Loveless remasters or the long-awaited follow-up. The inferred punchline was "neither." Advance copies circulated four years ago, but the leaks came and went and no one was sure if they were real. Turns out they were. And now you can buy them. They're available only in the UK for now, but yes, the My Bloody Valentine remasters exist.

In addition to new masters of Isn't Anything and Loveless, there's also a new My Bloody Valentine release, of a sort. EPs 1988-1991 collects four EPs and a single issued during the band’s creative peak, along with previously unreleased (but widely bootlegged) tracks. This release provides the greatest revelation. Imbibing this material in one large gulp feels like a new window into the band's brilliance. You Made Me Realise, originally released in 1988, is a perennial on any list of the greatest EPs of all time and it vastly improves upon their earlier work. They had experimented with guitar noise, but they'd never succeeded in making something like the title track, which walked a razor's edge between bliss and terror. Kevin Shields was a great admirer of the Beatles' flair for melody, but he'd never written a tune as breezy and memorable as "Thorn". And nothing they'd done before sounded as effortless as "Drive It All Over Me". They were finally a real rock band, with pulsing bass and brisk tempos and guitars that sound like guitars.

By late 1988, Shields put together an extended single and an album that secured MBV's status as guitar-pop innovators. The untitled single that featured "Feed Me With Your Kiss" (it was also released as a four-song EP, all songs are included here) found them becoming sweeter and yet more dissonant, essentially pushing every which way in the general direction of "more." If "Feed Me With Your Kiss" and "I Believe" can't quite match anything on Realise, they at least hinted that an even wider emotional range was within this band's grasp.

Isn't Anything, a singular item in the My Bloody Valentine discography, is the fulfillment of this promise. For some fans, it's the band's pinnacle. It's alternately dark and slow and joyously effervescent; on fast-tempo songs like "Nothing Much to Lose" and "Sueisfine", drummer Colm Ó Coísóig adds Keith Moon-like fills to the end of every bar. On slower songs like "Lose My Breath" and "No More Sorry", the guitars clang and rattle and MBV seem effortlessly dark and goth, having finally found a way to convey mood without forgoing song.

Even more than the greatness of the individual tracks, Isn't Anything crystallizes MBV's unique dynamic. It's an essential document in the noise-pop sphere that was by then already called shoegaze, and much of MBV's influence can be found here rather than on Loveless. But it's also distinctly the work of this one band. At the heart of My Bloody Valentine was the mixture of the crushing power of Dinosaur Jr. and Hüsker Dü and the delicate vulnerability of indie pop; the masculine/feminine dynamic was accomplished not through the brilliant interplay between Kevin Shields and singer/guitarist Bilinda Butcher (whose voices complement each other but often sound quite alike) but by the effect of their voices against the guitar noise. My Bloody Valentine offered a new expression of androgynous sensuality in pop, crafting deeply sexual but also abstracted music, short on specifics but heavy with feeling. And Isn't Anything is where this combination came into full flower. The swooning drone of "All I Need" points directly at what was to come on Loveless, but Isn't Anything needn't exist in relationship to another record. If they had stopped here, My Bloody Valentine's reputation would have been assured. Fortunately, they didn't. Another landmark was around the corner.

But before they got there, MBV offered two more EPs, both found on the 1988-1991 collection. Glider, from 1990, displayed a massive shift in sound from anything they'd done before. The opening single "Soon" was a sensation, famously described by Brian Eno as "a new standard for pop. It's the vaguest music ever to have been a hit." That vagueness is the key to all that would follow, because Shields was taking his early ideas and seeing how far he could push them into the realm of texture and pure sensation. So "Soon", with its drum break and chord changes and melody, sounds like a "song" on the one hand, but everything is blurred until it seems more like a ghosted memory of a song. And this mistiness happens without losing any of its propulsive force or the shock of the noise when the guitars enter. Clearly, things were very different for My Bloody Valentine.

Glider was rounded out by the instrumental title track, which serves as a showcase for how Shields was using phase shifts and disorienting rhythm tricks to create an underlying sense of unease mixed with awe. It sounds slightly "wrong" but also gorgeous, and like little else that had come before. MBV's following EP, Tremolo, upped the ante further. It stands as the true companion to Loveless. Opening with the staggering "To Here Knows When", it takes the woozy disorientation of "Glider" and mixes it with a vocal from Butcher that is impossibly ethereal. It feels constantly on the verge of breaking apart, which imparts a deep feeling of tension, as bruising distortion meets child-like coo. Both "Swallow", with its looped hand drums and Celtic synth line, and the crushing "Honey Power" match the best of Loveless for sheer beauty.

As you might imagine, a perfectionist like Kevin Shields isn't the sort to have unreleased greatness lingering in the vault, and that holds true for the bonus material that fills out the EP collection. "Instrumental 1" mixes drum breaks and guitar noise and sounds less like indications of a possible new direction and more like a tame example of a lot of the music it inspired. The 10-minute-long version of "Glider" is welcome, as it's built on the sort of hypnotic repetition you wish would go on forever. But better are the crunchy pop tunes at the tail end of the disc-- "Sugar", "Angel", "Good for You"-- which complement to the superior material on the EPs.

Tremolo came out in March, leaving a seven-month wait before Loveless made it into the world that November (six weeks after Nirvana's Nevermind). To say that anticipation for Loveless was high would be an understatement, and it delivered in every conceivable way. Few pop albums are routinely described in religious terms but this is one of them. It's partly because, like any scripture worth its salt, it leaves itself open to interpretation. Going back to that Eno quote, there's no telling what many of these songs "mean," even after you've read the lyrics. They bypass the language center of the brain and head for other areas-- where memory, tactile sensation, and emotions lie. It's an album you feel more than one you understand.

By this time, Kevin Shields was less a bandleader than a mad scientist, constantly developing and tinkering with new sounds. He played virtually every instrument (the lone exception being Ó Coísóig's minute-long "Touched") and obsessively tinkered with the smallest details. And the genius of Loveless is its mix, the exact proportions of one sound to the next. The highlights that led off the two EPs are the tentpoles, but really, Loveless is all highlights. I've heard many thousands of albums in my life and it's one of the few that strikes me as being essentially perfect. It's also the album that has turned two generations on to the wondrous possibilities of sound as sound. It's hard to imagine someone like Fennesz getting anywhere near as much traction among indie music fans if Loveless hadn't taught them how to listen for the emotional possibilities of texture. It remains a landmark that hasn't aged a day.

Which leads to one of the many strange and ironic things about this particular reissue: Perfection is offered in two competing versions. Loveless comes in a 2xCD set, one remastered from the original DAT and one from the original analog master. We may never fully understand the reasoning behind this unusual decision. As has been pointed out elsewhere, it's possible that the two discs are mislabeled, and that the half-inch analog master is identified as coming from the DAT and vice versa. Which is neither here nor there when you consider that no one in their right mind would ask themselves, "Which Loveless remaster should I listen to tonight?"

Shields says that the effect of the differences is cumulative and best understood over the course of a full listen. Having listened to the CDs on three different pairs of headphones and two different stereo systems of varying quality, I can say that they are slightly different (one is just a hair louder) but the qualitative distinctions are extremely minimal, at best. And there is a digital glitch on "What You Want" on one of the remasters, which seems both comical and tragic considering how long these have been in the works. So I guess I'll be listening to the one without the mistake, then.

Aside from that detail, the remastering across all three sets is well done. Loveless was famously and appropriately one of the quietest "loud" records of all time. Listening on your iPod, you always have the volume close to max and you never feel like you damage your hearing. And this breathing room pays off in spades in the dynamics of the record; when the guitars surge on "Soon" and "Only Shallow", it can still shake you to your core.

The most important thing is that this music exists and probably sounds as good as it ever will. As a band and as an idea, My Bloody Valentine stand for many things: sonic perfectionism, outsized ambition, excess. But the quality they embody above all is patience. They make you wait-- for the follow-up to brilliant albums, for the remastered versions of those brilliant albums, for that D-chord in the extended live versions of "You Made Me Realise" to finally come to an end. Some bands give you everything you want right when you want it; with My Bloody Valentine, you have to come to them and experience the music on their terms. But the demands they make don't preclude generosity. In fact, they reward your commitment many times over. For years, Kevin Shields has discussed his difficulties in following up Loveless. The talk often centers around money-- how he was not given what was promised, how he lacked the resources to bring the music to life and get it out into the world. These releases will set you back a few bucks, but My Bloody Valentine's output during their miracle years between 1988 and 1991 also stands outside of commerce. It feels like a gift, still.



 

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【Pitchfork】the Big Pink/Future This 15:26
  ピッチが低評価を与えているときにどんなことを言っているか気になったので、5.2点だったthe Big Pink『Future This』のアルバム評を訳してみました。

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 音速で、2009年にthe Big Pinkのデビュー作は届けられた。『A Brief History of Love』 の分厚いコーラス、ビッグなプロダクション、限界を超えたヴォリュームはラジオで炸裂するように作られていた。サウンドはブリッドポップと似ていなかったが、その用語がいずれにせよ用いられることとなった--the Big PinkはOasis,the Verve,それにMansunのような尊大にふるまうバンドの系譜に属しているように感じられたからだ。しかし、満を持して現れたこれらのバンドは力を持続できなかったし、Big Pinkの発起人Milo Cordellのルーツが,blog-houseとnu-raveがカルチャー的にピークだったころのMerok recordsにあることを考えると、このバンドは自らのポテンシャルの限界に気付かざるを得なかった。続いて届けられた『Future This』で、the Big Pinkは彼らの先人達と同じように、説得力に欠けた同じアイデアのリサイクルという罠にかかってしまった。

 アルバム最初の数分で魅力の減退が明らかになる。「Stay Gold」は以前のヒット曲「Dominos」と露骨に似ているが、歌詞は行きずりのフリーセックスから、夢にひたむきでいつづけることについての説教に変わっている。これは『Future This』全体を通じている一本の困った糸だ。the Big Pinkがかつて魅力的で女たらしの唯我独尊を発揮していたのに対し、ここではオーディエンスの繋がりを積極的に追及しようとすることで居心地の悪い貧困さが現れてしまっている。その結果が「Jump Music」のような、明確なメッセージを待たないくせに無様にもメッセージソングらしく振舞おうとする悪い意味でのキラートラック達である。

 the Big Pink はデビュー作との関連性を排除して、歌詞的に大きく異なったこの二つのレコードがまるで一つのコンセプトに基づいて作られたかのように見せることで、一つの神話体系を作り出そうとしている。また、彼らはthe Stone Rosesの「I Wanna Be Adored」を参照しているが、そのことが偉大なデビューのあとの対応を間違えて完膚なきまでに敗北した、かのバンドとの近似性をはっきりさせている。そして、そのあとの「Hit the Ground(Superman)」は「Stay Gold」と同じくらいイカサマくさい全くの駄曲で、ブレイクにLaurie Andersonの「O Superman」のサンプルを持ち込むことで、Max Martin風の尊大さとともに『Future This』の致命的な欠点を示している。外からのソース--あからさまなサンプル、プレハブのスローガン、さらには彼ら自身の音楽からの借用--に頼らなければ成り立たないという欠乏感を。以前は怖いもの知らずに音を鳴らしていたthe Big Pinkだが、サウンドを知的に合理化しようとしたことで『Future This』を臆病で栄養失調なものに
変えてしまっている。

 そんなすべての欠点にもかかわらず、優しげな「77」は驚くべき締めくくりである。中毒と喪失について触れながら、リードシンガーRobbie Furzeは歌う。「君はこんなにも大きな印象を僕に残した/デブリの上に残した/今僕は全てがめちゃくちゃ/時々君がいないことすら忘れてしまう」詩的とはお世辞にも言えないが、恋人に一人にしてほしいと語りかける現時点で最も無防備なこの曲がバンドの紛れもない心情だろう。これはthe Big Pinkが人間性を持つようになるための不器用なスタートだ、まだスタートでしかないが。 -Ian Cohen

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原文はこちら

Sonically, the  Big Pink's 2009 debut delivered. A Brief History of Love's titanic choruses, huge production, and maxed-out volume were designed to explode on the radio. Though they didn't sound like Britpop, the term was applied anyway because the Big Pink seemed in the swaggering lineage of bands like Oasis, the Verve, and Mansun. But bands who emerge so fully formed sometimes lack staying power and, considering Big Pink co-founder Milo Cordell's roots running Merok Records during the cultural peak of blog-house and nu-rave, the band had to be aware of their potential limitations. The follow-up, Future This, finds the Big Pink as boxed in as their predecessors, recycling the same ideas with less conviction.

The drop-off is clear in the album's first few seconds: "Stay Gold" bears blatant similarity to their previous hit "Dominos" but shifts the lyrical focus from consequence-free sex to homilies about staying true to your dreams. It's a troubling thread that runs throughout Future This: where the Big Pink once mastered the role of magnetic, womanizing loners, here their tilt towards positivity and pursuit of a connection with their audience comes off as uncomfortably needy. This results in ill-defined salvos like "Jump Music" that awkwardly try to position themselves as message songs despite having no discernable message.

The Big Pink try to build a mythology by dropping references from their debut into new songs, as if the two lyrically divergent records were of a conceptual piece. They also toss in a reference to the Stone Roses' "I Wanna Be Adored", establishing kinship with another band that was ultimately sunk by not knowing how to follow up a huge debut. And later, "Hit the Ground (Superman)" is every bit as gimmicky as "Stay Gold", incorporating a sample of Laurie Anderson's "O Superman" into its halting, Max Martin-like strut and illustrating the fatal flaw of Future This: their need to siphon the power of outside sources-- obvious samples, prefab slogans, even their borrowings from their own music. Where the Big Pink previously sounded invincible, nearly every attempt to intellectualize or streamline their sound makes Future This come off as timid and malnourished.

All of which makes the tender "77" a surprising closer. Touching on addiction and loss, lead singer Robbie Furze sings, "You left such an impression on me/ Left on the debris/ Now I'm all fucked up/ And sometimes I forget I miss you." It isn't exactly poetry, but it does feel unmistakably personal for a band whose most vulnerable song to this point told a lover to leave them alone. It's an awkward start to humanizing the Big Pink, but a start nonetheless. -Ian Cohen

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 今回の文は納得できるところが多かったですね。「Stay Gold」は最初聴いたときは「いいじゃん」と思ったんですけど歌詞見てから聴くと微妙な印象を抱いてしまいました。メロディが輝く瞬間はあるんですけどね。
また気が向いたら訳します。

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【Pitchfork】Best Album 2011 No5.Girls/Father,son,holy ghost 16:08
 

05. Girls: Father, Son, Holy Ghost [True Panther]

タイトルが示すように、Girls2009年のデビュー作『Album』はシンプルさの勝利だった。ローラやローレン・マリーたちについて歌う曲での馴染みある50‘s ロックの引用から、同じリフレインを何度も何度も繰り返すことでシンガロングアンセムを創りだす「ヘイ・ジュード」トリックを盗んだ「Hellhole Ratrace」(http://pitchfork.com/tv/musicvideos/172-hellhole-ratrace/) まで。しかし、Girlsについての記事を一つでも読んだ人は誰でも、リーダーChirstopher Owensの人生がピザとワインのボトルに彩られたものなどではないことを知っていたし、Girlsのより暗いサブテクストが次のフルレングス作品で前面に現れるだろうと思っていた。

これはへヴィーなレコードだーそれは、ただ「Die」でGirlsが驚くべきことに「ブラックサバス筋肉」を駆使しようとしたからだけではない。最初のアルバムがChristopherの「痩せこけた身体」や「汚い髪の毛」についての自嘲気味な告白から始まったのに比べると、『FatherSonHoly Ghost』は恐れを知らない自信にあふれていて、『Album』での今にも壊れそうなスクラップ感を避け、Billy Prestonがキーボードを弾いていた時代のBeatlesや70年代初頭のPink Floydをクラシック・ロック・レディオ風に洗練させることによって(The Dark Side of the Moon のお手軽なコピーだとは思ってはいけない、「Vomit」のゴスペル風のクライマックスはThe Wizard of Oz の竜巻のシーンに間違いなく良くマッチしている)
、彼らのテーマー色褪せるロマンス、精神の空虚、家族との和解ーに自らのへヴィネスを込めて果敢にタックルしている。そして『Album』がもっとも魅力的な曲を前に寄せてしまっているのに対し、『Father,son,Holy Ghost』は後半の素晴らしい「Forgiveness」-
Owenの人生のもっとも困難な対話を覗いてしまったと思えるほどに生々しく荒廃した8分間にいたるまですべてが強力にビルドアップされている。Girlsはデビューアルバムのタイトルをこのアルバムにつけるべきだった。『Father,Son Holy Ghost』は大文字で「A」をつけた(つまりアルバムとしてたしかな魅力を備えた)「一枚のアルバム(A Album)」なのだ。--Stuart Berman


原文(http://pitchfork.com/features/staff-lists/8727-the-top-50-albums-of-2011/5/?utm_source=related

As its title indicated, Girls' 2009 debut, Album, was a triumph of simplicity, from its familiar 50s-rock references to all the songs about Lauras and Lauren Maries to the way "Hellhole Ratrace" copped the "Hey Jude" trick of repeating the same refrain over and over again to create an instant sing-along anthem. But anyone who's read a single article about Girls knows that leader Christopher Owens' life hasn't been all pizzas and bottles of wine, and this darker subtext came to the fore on the band's second full-length.

This is a heavy record-- and not just because Girls try to flex some surprising Black Sabbath muscle on "Die". For an album that begins with Owens' self-deprecatingly acknowledging his "bony body" and "dirty hair," Father, Son, Holy Ghost is brimming with confidence and fearlessness, as Girls tackle tough subject matters-- fading romance, spiritual emptiness, reconciling with family-- with the weightiness they deserve, by eschewing Album's ramshackle scrappiness for the classic-rock-radio sophistication of Billy Preston-era Beatles and early-70s Pink Floyd. (Should you not have a copy of The Dark Side of the Moon handy, the gospelized climax of "Vomit" would no doubt match up really well with the tornado scene in The Wizard of Oz.) And where Album frontloaded its most immediately engaging songs, everything on Father, Son, Holy Ghost feels like a steady build-up to the late-act stunner "Forgiveness", eight minutes of understated devastation that feels like we're eavesdropping in on the most difficult conversation of Owens' life. Girls were too quick to name their debut record-- even more so than its predecessor, Father, Son, Holy Ghost is a capital-A Album. --Stuart Berman

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【Pitchfork】Best Album 2011 No.7 tUnE-yArDs/w h o k i l l 13:15


07. tUnE-yArDs: w h o k i l l [4AD]

Merrill Garbusのパーカッシヴな『w h o k i l l』の要素が多様なジャンルや文化からひっぱってきたものであるとしても、聴いている間、私はWalt Whitmanのことを思い浮かべていた。この二人の恐れ知らずで愉快な変人たちは生身の肉体を祝福しようとする嗜好を共有しており、また国歌を、彼らの落書き好きな手で書き換えようとする意志を持っている。『w h o k i l l』オープニングの一斉射撃「My Country」にやられる。「あなたがいること/甘美な自由の大地/なぜあなたの腕の中で未来を見られないの?」

このような問いかけをするような歌が必要だった年があったとすれば、それは2011年だった。『w h o k i l l 』はこの国ー経済的不平等、どんどん減っていく天然資源、変わりそうもない政治と社会の乖離に直面し、壊れかけているこの国の現在を表した手書きの地図である。「目を開いていた状態で/幸せでいられるっていうの?」Garbusは「My Country」の途中で叫ぶが、しかし『w h o k i l l 』の勇敢かつ非凡なところは醜悪さ、内面の闘い(Garbusが時々駆使するボーカルループはまるで彼女が自分自身と熱論を繰り広げているように聞こえる)、もしくは果てしなくからまった関係性にもめげることなく決して目を閉じないところである。「Riotrit」のなかで、喉の可能性を最大限に利用した彼女の声は弱々しい告白から奇妙に開放的なものに変わる。「暴力の中には私の理解できない自由がある/そんなもの今までは一度も感じなかった!」

『w h o k i l l』の10曲それぞれが特異な声と結びついており、またこれらの曲は、人と結びつきたいというという単純すぎて忘れてしまうような人間としての欲求を思い出させる。10月中旬、彼女の国の連邦議会議事堂から数マイルしか離れておらず、反金融経済デモの支部からもう少し離れたところで、私はソールドアウトしたGarbusのショウを見たが、彼女は最近のセットにいつも入れているコールアンドレスポンスをしていた。「生きたいの?DO YOU WANT TO LIVE?」彼女はオーディエンスに尋ねる。それに続く会場全体から発されたうなり声がこのように応えたのは必然だった。「YEAH!」--Lindsay Zoladz


原文(http://pitchfork.com/features/staff-lists/8727-the-top-50-albums-of-2011/5/?utm_source=related

Though Merrill Garbus' percussive w h o k i l l pulls from a variety of genres and cultures, when listening to it I kept coming back to Walt Whitman. The two fearlessly gleeful weirdos share a penchant for celebrating real live flesh, and they also have a thing for rewriting national anthems in their own, scribbled hands. w h o k i l l's opening salvo is a killer: "My country, 'tis of thee/ Sweet land of liberty/ How come I cannot see my future within your arms?"

If ever there were a year that needed songs asking questions like that one, it was 2011. True to its times, w h o k i l l is a hand-rendered map of a shrunken country: fractured in the face of economic inequality, dwindling natural resources, and seemingly insurmountable political and social divides. "With my eyes open, how can I be happy?" Garbus shouts midway through "My Country", but the bravery and the genius of w h o k i l l is in how it never once closes its eyes, undaunted by ugliness, internal struggles (Garbus sometimes uses vocal loops in such a way that it sounds like she's having a heated argument with herself), or even the most complex revelations. In "Riotriot", the sheer full-throated power of her voice turns a squirmy confession into something strangely liberating: "There is a freedom in violence that I don't understand/ And like I've never felt before!"

w h o k i l l's 10 songs-of-self are testaments to the power of an idiosyncratic voice, and they're also reminders of the deceptively simple human demands that unite us. In mid-October, a few miles from her country's capitol building and a few more from the city's branch of the Occupation, I saw Garbus open a sold-out show with the call-and-response chant she's opening all her sets with these days. "DO YOU WANT TO LIVE?" she asked the audience. The unanimous roar that followed was as inevitable as it was affirming: YEAH! --Lindsay Zoladz



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【Pitchfork】 Best Track 2011 No.1 M83/Midnight City 17:46
 前回は「Pitchfork」の2011ベストアルバムの記事を訳したので、今回は2011ベストトラック、M83の「MIdnight City」についての記事を訳してみました。
原文はこちら→http://pitchfork.com/features/staff-lists/8726-the-top-100-tracks-of-2011/10/


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01. M83"Midnight City" [Mute]


 M83のその奇妙なキャリアの中で、Anthony Gonzalezの音楽は壮大なドローンからフューチャリスティックで大げさなサウンドへ、さらにロマンティックなニューウェーブへと変遷していった。
明確な筋道があるのかもしれないが、それは拡張的で限定のないたゆたいから、短くきちっとパックされた一口サイズのポップなエモーションへゆっくりとズームしていくプロセスである。そして、幾多の経験を重ねた長い活動を経て、「Midnight City」―M83のもっともパワフルで勝利の感情をもたらすトラックは生まれた。

 Gonzalezは、あなたが一人でピアノに向かって適当に弾いたような曲にも適切なヴァース、コーラス、インストのブリッジをつけることで素晴らしい曲に変えるエキスパートであるのだが、長い間そのソングライティング能力の領土の中で安住していた。しかし、「MIdnight City」のもっとも素晴らしいところは、なによりまず音のみで曲のストーリーを展開させているところである。推進力のあるビート、切迫した声のレイヤー、キャッチーなシンセ、印象的なリズムループが4分間に凝縮されており、行き過ぎになるところを今や時代精神の音となった感のあるサクソフォンの音がアウトロに響き、きっちりと全体を締めている。

 音の力以上に、「Midnight City」は強烈な意味を宿している。Gonzalezがなにを歌っているのかわからなくても、あなたはこの曲の意味するものに何回でも出会うことができる。まず、この曲は単純にシティライフを謳ったものであるが、同時にGonzalezをここまで導いた音楽に対する究極的なトリビュートにも聞こえる。彼はインタビューの中でthe Smashing Pumpkinsの『Mellon Collie and the INfinite Sadness』(邦題『メロンコリー、そして終わりのない悲しみ』)からの影響について言及している。たしかに「Midnight City」はGonzalezにとっての「1979」(→http://www.youtube.com/watch?v=4aeETEoNfOg)のように聞こえる。両者の間にはすぐに記憶に残るリフや、あこがれを歌う際のやさしいフィーリングなど共通点は多い、しかし、「Midnight City」は未来が続く限り、変化することを運命づけるような曲である。集合的記憶を呼びおこすためではなく、新しい記憶を作り出すためのサウンドトラックなのだ。--Brandon Stosuy


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ついでに「Midnight City」の歌詞も訳してみました。


車の中で待っている
闇の中で走り始めるのを待っている
夜の街が大きくなる
彼女の瞳をみてごらん、彼女の瞳も大きくなっている

車の中で待っている
闇の中で走り始めるのを待っている
ラウンジで飲みながら
ネオンサインを追っかけている

轟音が鳴り響くのを待っている
地平線が変わっていくのを眺めている
街はぼくの教会
きらめくような薄明かりの中でぼくを包み込む


車の中で待っている
ちょうどその時が来るのを待っている
車の中で待っている
ちょうどその時が来るのを待っている
車の中で待っている
ちょうどその時が来るのを待っている



Waiting in a car
Waiting for a ride in the dark
The night city grows
Look and see her eyes, they glow

Waiting in a car
Waiting for a ride in the dark
Drinking in the lounge
Following the neon signs
[ Lyrics from: http://www.lyricsty.com/m83-midnight-city-lyrics.html ]
Waiting for a roar
Looking at the mutating skyline
The city is my church
It wraps me in the sparkling twilight

Waiting in a car
Waiting for the right time
Waiting in a car
Waiting for the right time
Waiting in a car
Waiting for the right time
Waiting in a car
Waiting for the right time
Waiting in a car
Waiting for a ride in the dark

「Midnight City」のPVはこちらです→http://www.youtube.com/watch?v=dX3k_QDnzHE

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【Pitchfork】Best Album 2011 No.1 Bon Iver/『Bon Iver』 22:14

 北米の音楽サイト「PITCHFORK」、ここ10年くらいですっかり著名になりましたが、意外と和訳は出回っていないようです。というわけで記事の一部を訳してみることにしてみました。ぼくは英語の専門家でもないので誤訳もあるかと思います。訂正して頂けると僥倖です。
 今回は2011年PITCHFORK年間ベストアルバムに選出されたBon Iverのアルバム『Bon Iver』の記事を訳してみました。時間があれば他の記事も訳していきたいと考えております。原文はこちら→http://pitchfork.com/features/staff-lists/8727-the-top-50-albums-of-2011/5/

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01. Bon Iver: Bon Iver [Jagjaguwar]


  『Bon Iver』はBon Iverの神話から Bon Iverを解き放つレコードかもしれない― 終わることなく繰り返される創作神話(小屋、失恋、Wisconsin)から、彼のあご髭から想起されるものから、Kanye Westとのパートナーシップがほのめかすものから。『Bon Iver』は6秒の長い沈黙から始まる、それはある種のクリーニングだ。このことは胸に留めておいたほうがいい。

 

 すでに確立されているフォークの文法のルール内で作られた2008年の『For Emma,Forever Ago』と違い、『Bon Iver』は馴染みがなく、拡がりがあり、意欲的だ。この、きらきらと光るソフトロックの上に広がるJustin Vernonのファルセットは、子供のようなあこがれに染められている― 人や場所に対してではなく、意味に対するあこがれに。彼はぎりぎりの高さまで声を押し出し、惜しみないようにも控えめなようにも感じるスタイルで声を操る。その声は曲の表面の上で溶けだし、一つの層、テクスチャとなり、すべてのキーボード、サックス、エフェクトをかけたギターと同等の音として配置される。このアルバムの豊富なレイヤー(それは煉瓦のように幾重にも重ねられている)に関して、馬鹿らしい用語(Vernonがこれらの曲は「サウンドスケープ」だと言及しているとしても)やほとんど理解されないメタファーなしで語ることは、批評的なチャレンジを伴う。究極的には、ただこう言えば十分な気がする。『Bon Iver』は無理やりに集められた、野心的な、時には破壊的な、よく整えられた音でできた1曲の練習曲であると。

 

 また、不明瞭な話法がこのアルバムにはいくつも見られる。曲名は実際の地名からとられたもの(「Lisbon,OH」「Calgary」)と架空の場所からとられたもの(「Hinnom, TX」「Minnesota, WI」)があるが、現実か想像上かというところに大きな違いはない。『Bon Iver』のほとんどの曲は記憶にかかわるものだ― 時間の経過が我々の肉体、愛し方にどのような影響を及ぼすか、いつかの失敗をどのように考えるか、以前の自分自身をどうやって捨て去るか―。

そして最後に、Vernonは欺くのがうまい頭の切れる言語学者であり、ナンセンスなフレーズ(「鎧を通せ、木の真実を身に付けた鎧を」(訳注『Bon Iver』2曲目「Minnesota, WI」の歌詞))と特定できる引用([1]「3番と湖、それは燃え尽きた/廊下はぼくらが祝福することを学んだ場所だった」)を混ぜ合わせる。これは夢のロジックであり、記憶のはたらきを示したものである。リスナーが、言葉の連なりが意味するものをやっきになって探しているかもしれないときに、Vernonとバックメンバーは自己内省の注釈のために十分すぎるサポートを与える。結局のところ、これらの曲は感情のパズルの空いてる場所を埋める虫食いゲームのように鳴らされ始める。「わたしは偉大ではなかった」(訳注『Bon Iver』3曲目「Holocene」の歌詞)というような宣言のなかに見られる、うぬぼれと謙虚さとの激しい矛盾を孕んだコンビネーションによって、虫食いの空白を埋めたいという気持ちがまぎれもなく促進される。2011年という年を分析する際の、最適な手掛かり。--Amanda Petrusich



[1] 訳注 『Bon Iver』3曲目「Holocene」の歌詞なのですが、訳者はこの部分が何の引用なのかわかりません。知っている人がいたら教えてください。原文は"3rd and Lake, it burnt away/ The hallway was where we learned to celebrate"です

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